コラム
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- 「妊娠しよう」と考えた時に(2)
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- 妊娠力と出産力(1)
- 妊娠を望む方へ(1)
「妊娠しよう」と考えた時に
「妊娠しよう」と考えた時に
妊娠しようという気持ちの準備ができたなら、将来の母体と胎児を守るために済ませておきたい準備策について考えてみましょう。
最初は風疹と水痘水疱瘡への免疫についてです。
あなたはこどもの頃「風疹」や「水疱瘡」にかかったことがありますか?
あるいは学校などでこれらに対する予防接種をうけたことはありますか?
覚えていない方は、お母様に訊いてみましょう。お母様も不確かな場合は、血液検査で、これらの伝染病に対する免疫があるかどうか確認することをお勧めします。もし血液検査で免疫がない、ということが分かったら、ワクチンを受けましょう。こどもの頃にワクチンを受けた場合でも、大人になるまでの長い年月の中で、免疫が薄れてしまい、血液検査をしてみると、実は「絶対に抗体がある」とは言えないような低い数値になっていることもあります。出来れば、皆さんが血液検査で調べた方が好いのです。妊娠中にこのようなウイルス性感染症に感染すると、胎児の先天性異常や重度の肺炎などの母体の合併症に発展することがあります。せっかく妊娠しても、そのようなことになっては大変ですので、できるだけのことは準備しておきましょう。免疫がない場合、あるいは免疫を表す数値が低い場合は、ワクチンを受けることになりますが、このワクチンは生ワクチンです。したがって、ワクチンを受けた直後は、逆に胎児にはよくありません。ワクチンを受けたら数か月後に血液検査を受けて抗体ができていることを確認して下さい。ワクチン接種後、どれくらいの期間妊娠しない方が好いかについては医師に確認して下さい。 通常は2~4か月ぐらいです。その間は避妊して下さい。
まだ妊娠もしていないのに、妊婦用ビタミン剤なんて・・・と思われるかもしれませんが、積極的に妊娠をしようと思っている時、妊娠成立前から服用を始めても全く問題の無いものです。単に妊婦用ビタミンというのではなく、キーポイントは「葉酸」です。これが含まれていることによって、妊娠中の胎児の脳の発達時に、脳神経管における異常発生を減少させることが分かっています。健康のためにサプリメントを服用されているのなら、これも一つの手段かもしれません。ただ、妊婦用のビタミン剤の中には、鉄分が余分に含まれているものも多く、それで吐き気を催してしまう方も少なくありません。吐き気がするようであれば、そして鉄分の含有量が少なくとも大丈夫な場合は、含有量が低めのものを選んで試してみましょう。但し、貧血気味の方の場合はきちんと担当医と相談をして、必要な量を摂取して下さい。
ご存知の方も多いと思いますが、妊娠しているのを知らずにレントゲンを受けてしまうと、胎児に悪影響がある場合があります。今は歯医者さんでも、他の医療施設でも、女性には「妊娠中ではありませんか?」と聞いてくれるようです。しかし、もし聞かれなくても、少しでも妊娠の可能性がある場合は、「もしかしたらそうである可能性もあるので・・・」と、適切な準備(例えばX線を通さないベストをかけてもらうなど)をしてもらって下さい。不必要なレントゲンは受けない、あるいはレントゲンが必要な検査や治療は、妊娠を試みる前にすべて終わらせてしまう、というのが好いかもしれません。
本来は、ブライダルチェックのような検診で、あらゆる詳細な検査を受けるのが望ましいのですが、そのような検査を受けるチャンスが無い場合、どうしても時間を作れない場合、妊娠前に絶対行って頂きたいのは、子宮頸がんと乳がんの検査です。 どちらも初期発見があると完治できる可能性がありますが、進行した状態で診断されてしまうと、もし妊娠している場合、その妊娠、つまり赤ちゃん自体を諦めるという悲劇はおろか、自分自身の命さえも危険にさらされてしまうことになります。子宮頸がんの場合、進行してしまうと、子宮を全摘出しなければならないこと、さらに転移していると卵巣も一緒に摘出、ということにもなりかねません。それでも命が助かればよいのですが、もちろん知らずに放置された状態だと、死にも至ります。発症時は自覚症状がまったくありませんから、定期的に検査を受ける以外、病気を知る手段はないのです。子宮頸がんと乳がんの検査は、できるだけ毎年1回受けて下さい。どんなに忙しくても、何があっても、それが初期発見の鍵となる真実なのですから。