コラム

メディカルツーリズム

 

近年よく耳にするメディカルツーリズムですが、観光立国推進のためアジア各国が医療観光の覇権争いを繰り広げています。
シンガポール、タイ、マレーシア・・・・
グローバル化した今、国内だけで医療や医療サービスを受ける必要はなくなりました。インターネット等の情報網や移動手段が発達し、1日あれば世界のどこにでも行くことができます。質の高い医療やよりよい医療サービスを受けたいなら、国境を超える必要が出てきています。これは、海外の旅先で医療を受けることであり、医療サービスを受けるために海外旅行をするということです。

つまり、「旅+医療」がメディカルツーリズムと言う事になります。
*コロナのパンデミックによりアジア各国は大打撃を受けましたが、2022年には徐々に回復傾向にあります。

日本では「国民皆保険」とされ、国民は何らかの公的医療保険に加入することが定められています。現在は3割の自己負担で一定水準の医療を受ける事が可能です。

しかし日本の医療は、「3時間待ちの3分診療」と言われるようなサービスの低下、最先端医療や特別な医療を受けようとすると保険外診療となり高額になるなどの問題もあります。
それではなぜ今、メディカルツーリズムなのでしょうか。
理由の第一は、国内の医療サービスの質の低下と不便さ、第二は医療費の安さ、そして第三は医療の技術水準の高さです。
このようなメディカルツーリズムですが、特に今、アジア各国が注目されています。

2013
年度メディカルツーリズムで評価の高かった病院 (MTQUA 2013Worlds Best Hospitals for Medical Tourists) が発表されました。

1位にはマレーシアにあるプリンスコート・メディカルセンター、そして6位にタイのバムルングラートインターナショナル病院、8位には同じくタイのバンコク病院メディカルセンターがランクインしました。
また20143月にドバイで開催されたIMTJ Medical Travel Awards 2014では、年間国際病院賞:グレンイーグルス・クアラルンプール年間国際不妊治療クリニック賞:プリンスコート・メディカルセンターと、マレーシアにある2つ病院が受賞しました。
マレーシアそしてタイは、医療関連産業と観光を連携させたメディカルツーリズムを、外貨を誘致する産業として発展させるため、国の政策と位置付け推進している事が結果として表れています。

アジア各国では、メディカルツーリズムを外貨獲得の重要政策としています。

タイでは、1990年代後半から「アジアのメディカルセンター」を目指す政策が始まりました。2012年には、253万人の外国人がメディカルツーリズムでタイを訪れています。2004年、タイ政府が外貨獲得を狙って打ち出したアジアの「メディカルハブ構想」が実をむすんだ結果でした。
同様にマレーシアでも、国家重点経済分野のひとつとして民間医療が挙げられ、メディカルツーリズム振興と、毎年100万人の外国人受け入れ、高度医療機器の設置などによる成長産業として育成することが示されています。1998年1月にはメディカルツーリズム推進委員会ができ、本格的に取り組んでいます。
各国が重要な政策として振興する一方で、高いホスピタリティ精神、コストパフォーマンス、そして欧米などの先進諸国へ医学留学した経験を持つ優秀な医師、高級ホテル並の豪華な設備など自由競争下における民間病院のサービス向上が、メディカルツーリズム人気を下支えしています。

メディカルツーリズムとは、医療を受けることを目的にした海外旅行のことです。また医療を主目的にしないまでも、海外旅行中にオプショナルツアーとして人間ドックや整体などを行う事も含まれます。
具体的には、整形美容やレーシック、卵子提供などの高度不妊治療といった各分野や、健康志向の現代社会では、ウェルネスや健康診断などの分野もあります。
すなわち日本国内では高額な治療、厚労省が認可していない治療、保険適用外の医療などを受けたい場合、それを海外で受診することなのです。
現在、タイやマレーシアといったアジア諸国へは、ヨーロッパや中東、中国、もちろん日本からも含め数百万人のメディカルツーリストが訪れています。

エンジェルバンクでは、海外で行う卵子提供プログラムや代理母出産プログラムなどの不妊治療や世界的に実績のある病院、日本国内ではまだ許認可されていない治療などの紹介やそれを希望する方へは、医療機関のコーディネイトを行います。

 

「不妊」 について

 

不妊という問題が切実な問題として身近に沢山あるにも拘らず、日本では不妊はオープンに語られてきませんでした。その背景には、不妊を恥じる日本人の文化があるのだと思います。
海外のある製薬会社が行った不妊に関する調査で、「不妊について家族や友人に相談し易いか」、「不妊治療に積極的に取り組みたいと思うか」という2つの問いに対して、イエスと答えた率は日本が最下位だったそうです。不妊の問題を自分達だけで抱え込んでいる、という日本の現状が浮かび上がっていますね。不妊治療を行うカップルの中には、それがきっかけで離婚することになってしまったり、うつ病になってしまったという例もあるそうです。不妊をタブー視することのデメリットはそれだけではありません。教育などの場で情報を得る機会が少ないので正確な知識が広がって行かないのです。ネット上には不妊に関する情報が氾濫していますが、根拠の薄いものも多く、また営利目的に偏ったものも少なくありません。

不妊の原因にはいろいろありますが、日本では「不妊は女性だけに原因がある」という偏見がいまだに強く残っています。WHO(世界保健機関)の調査では、男性のみに原因がある場合と男女双方に問題がある場合を合わせて、不妊の原因の約半分のケースで男性が関係しています。日本では前述の偏見のせいで、不妊治療が女性側に偏っており、男性側の対策はほとんどされていません。不妊治療は必ず夫婦揃って受診することが大前提で、男性の不妊原因に対する理解をもっと高めることが望まれます。
知識不足の2大問題は、不妊原因に対する理解不足と卵子の老化に対する知識不足です。女性の妊娠力は36歳を境として低下して行きます。先日引用した調査に於いて、卵子の老化についての日本人の正答率は30%に達しておらず、先進諸外国に比して極めて低い数字です。「卵子が老化する」という事実を見過ごし、出産を先送りにしてしまい、不妊治療で悩む人が増えているのです。身体の中で卵子だけが老化しないと考える人はいないでしょうが、女性が妊娠する力が意外と若い時期から下がり始めるという事実はまだ十分に理解されていないと思われます。

具体的な男女それぞれの原因ですが、男性不妊の場合には、精子の問題(無精子症・乏精子症)、精巣の問題(精索静脈瘤)、セックスレスの問題(EDや射精障害)などが考えられます。
次に女性不妊の場合には、排卵障害、子宮着床障害、卵管障害などの直接的な要因となる不妊体質、生理不順、生理痛、不正出血、などの身体的不安、また年齢的要因や、精神的ストレスなど、直接的ではないにしろ妊娠に大きく影響しそうな要因などいろいろな問題があります。
しかし不妊症の疑いがない男女が、排卵日に性生活をしても、妊娠する確率は20%程度(個人差があります)と言われていますので、妊娠とは、偶然に偶然が重なってようやく実を結ぶものと言えます。

厚生労働省が2007年に実施した「生殖補助医療技術に関する意識調査」によると、既婚者のうち「不妊に悩んでいる」または「過去に悩んだことがある」と答えた人の割合は、結婚期間23年で28&45年で22.3%69年で29.1%だったと報告されています。つまり、結婚10年未満の夫婦の2割以上が不妊に悩んだ経験があるということになります。

同じく厚生労働省の調査によると、平成23年の平均初婚年齢は、夫30.7歳、妻29.0歳となり、夫、妻ともに前年より0.2歳上昇しています。上記の調査から、日本では40歳位の夫婦の場合、30%弱のカップルが不妊で悩んでいると考えられ、不妊治療をするカップルの数は、年々増加する傾向にあります。
米国の場合、日本のように10年近くも不妊治療はせず、40歳以上の年齢だと、すぐに「卵子提供での体外受精」「代理母」や「養子」などの次のステップを勧められるといいます。

 

不妊大国ニッポンの現状 

 

数年前、産婦人科の現場を舞台に、様々な人間模様をドラマ化した番組が人気を博していました。視聴率が良かった理由ですが、人気俳優が主役を演じただけでなく、その題材が多くの人の周りにある現実だったからだと思います。
ところで子供を望んでいる人は非常に多いのに、なぜ世の中では少子化が問題になっているのでしょうか。不妊治療を受けている人の数はなぜ増加傾向にあるのでしょうか。もう一度妊娠・出産の現状を振り返ってみましょう。

一般に避妊をしないで妊活をしていても、2年以上妊娠しない場合不妊症と診断され、その患者数は世界中で増加しているそうです。不妊症と診断されるカップルは、一般的には1015%の割合でどの国にも存在しているそうですが、日本では晩婚化と晩産化によって、不妊をより深刻化させているようです。
近年、女性の平均初婚年齢は29歳となっており、新生児の約6割は30代のママから生まれているのです。ドラマの中でも言っていましたが、卵子は齢をとって行くもので、不妊治療を先送りすると妊娠の可能性はどんどん下がってしまいます。一説によると、今不妊治療を受けている人の90%は、10年前に妊活をしていれば自然妊娠していただろうと言われています。

現在、日本には不妊治療を行っている病院・クリニックが約600軒あるそうです。アメリカですら500軒無いと聞いていますし、世界一の人口を抱える中国で約300軒だそうです。日本は世界一の不妊治療大国になってしまいました。

また日本は、体外受精や顕微授精などの生殖補助医療(ART)の治療件数では世界一です。2015年にはそのART51,001人の赤ちゃんが誕生しており、同年の出生数が1,005,677人であるため、日本の現状は20人に1人がART由来であると言えます。
ドラマの中では、不妊治療は自然妊娠を促進する治療をすることではないと示唆していましたし、「子供を授かるために医療の力を借りることは、恥ずかしいことでも、特殊なことでもない」と言っていました。
先端医療の力を借りて子供を授かることが当たり前の時代が既に到来しているのです。そういう時代になっているにも拘らず、正しい情報が身近にあるかというと、必ずしもそうではなさそうです。

少し横道にそれますが、昭和20年代を振り返ってみましょう。

日曜日の夕方放送される「サザエさん」が発表されたのは昭和214月です。サザエさんの実家である磯野家の家族構成はその頃の日本ではごく普通だったのでしょう。磯野家の主婦であるフネさんは、今の感覚ではおばあさんに見えますが、作者である長谷川町子さんが想定した年齢は48歳です。波平さんは55歳定年の時代でまだ現役ですから53歳位でしょう。サザエさんは20代前半で既にタラちゃんの母親です。ワカメちゃんはフネさんが39歳の時に出産した末っ子だそうです。20代前半から家族の世話に明け暮れてきた昭和半ばの40代女性と、社会進出を果たし自分で稼いだお金でファッションや化粧やエステに投資できる現代のアラフォー以降の女性とではセルフイメージが大きく違っても仕方がないですよね。でも、外見が大きく変わっても卵巣は昔と変わっていません。女性が出産できる限界年齢は延びていないのです。それどころか、古い統計と現代を比較すると、昔の女性の方が生殖機能が強く、遅くまで出産できたようです。
晩婚化・晩産化が進行してしまっている現実を踏まえて、これからの家族の姿・在り方に焦点を当てた社会のカタチを考えなければいけません。

少子化は日本の大きな社会問題ですから、不妊は日本の未来を左右する大問題です。しかし不妊治療を支援することが、少子化の解決に直結するとは限らないでしょう。何故、今、不妊治療を応援しているのかを考えた時、相矛盾するかもしれませんが、不妊治療に頼らざるをえない人を減らすことがより重要なのだとの結論に達しました。不妊治療を応援するというささやかなアクションを通して、より健全な社会作りに貢献することが私たちの目的でなければいけないのだなあと強く感じます。より健全な社会作りを目指して、不妊に悩む方やその予備軍というべき方々に正確な知識の伝達をすることは大変重要です。女性が若くして子供を産める社会作りのためには、保育所の整備、多様な雇用制度の確立、等々に加えてシングルマザーや婚外子を認めることなども真剣に議論すべきではないでしょうか。諸外国の婚外子の比率を見てみると、フランスでは50%を超えており、アメリカは40%に達しているのに対し、日本は僅かに2%で先進国の中では極めて低い現状です。

不妊は、個人の問題ではなく現代社会の悲鳴です。新たな不妊患者が生まれない新しい社会システムを構築できるかどうかに、この国の未来が懸かっている気がします。 

 

日本と世界の違い(1)

 

日本は、不妊治療施設の数が世界で最も多い国です。不妊治療をしている病院やクリニックの数は、約600ヵ所と言われています。しかし体外受精の実施件数では、日本より施設数が少ない米国よりやや多いものの、治療による出産率では、米国の4分の1しかありません。
理由として1番に考えられるのが、患者の年齢です。日本では、不妊治療を行っている患者数の30%以上が40歳代で、世界で最も年齢構成が高いと言われています。世界の平均は、40歳以上で15~18%位です。つまり不妊治療での妊娠率が高い国は、年齢が若い段階から不妊治療に取り組んでいると言えます。
2番目には、不妊治療のために自己負担する費用です。日本では一般的に、一部を除いて自己負担となっており、治療にかかる費用の平均は100万~200万円ぐらいと言われています。一方海外では、フランスやスウェーデンなどは健康保険が適用され、自己負担はありません。日本でも、国による公的支援制度や都道府県や市町村など自治体独自の助成金制度により支援が行われ、自己負担の軽減が図られています。
3番目として、体外受精の違いも見逃せません。海外では、第三者の卵子提供による体外受精を許可している国が多くあります。最近は、卵子の老化の話が日本でもよく取り上げられていますが、第三者の若い卵子で体外受精を行えば、妊娠率は高まり、出産率も高くなると考えられます。しかし残念なことに日本では、一部の例外を除いて、原則禁止となっています。

次に不妊症の定義の違いを確認してみましょう。
日本生殖医学会によると、不妊症とは、「何らかの治療をしないと、それ以降自然に妊娠する可能性がほとんどない状態」を指し、健康な夫婦が一定期間、避妊せずにセックスをしても妊娠しないことを言っています。ここでいっている一定期間は、日本や世界保健機関(WHO)では、2年間と定めていますが、アメリカでは、この期間を1年間としています。それではなぜアメリカは、この期間を世界的な標準の半分にしているのでしょうか。それは高齢出産が増えたからです。若い夫婦ほど妊娠率は高く、夫婦が高齢になれば妊娠率は低くなります。そして高齢になればなるほど、治療に要する期間は長くなり、しかも費用も高くなります。つまりアメリカは、不妊症と判断するための期間を短くし、なるべく早く診察そして治療を行い、高齢出産を減らそうとしているのです。
ART
(生殖補助医療)の国際監査委員会(ICMART)によると、日本は、不妊治療による出産率が米国の4分の1というデータがあります。フランスなど不妊治療での妊娠率の高い国では、年齢の早い段階で、治療に取り組んでいると言われています。現在日本では、結婚している夫婦の6組に1組が不妊治療や検査を受けていると言われています。日本産科婦人科学会によると、2017年に体外受精によって生まれた子供の数は54,110人で、国内全体のおよそ16分の1にあたります。1983年に東北大で国内初の体外受精児が生まれてから合計で59万人超えたことになります。
世界でみると、イギリスのロバート・エドワーズ博士が世界初の体外受精を成功させた1978年からの累計で、約500万人の体外受精児が誕生していると世界保健機関(WHO)は発表しています。また欧米などの海外では、既に許可されている「第三者からの卵子提供による体外受精」は日本では未だに原則禁止になっています。
しかしこれまでに判っているもので、国内で卵子を提供されての出産が約100人、海外で卵子を提供を受けての出産が約3,000人と、推定されています。このような日本での状況を踏まえ、第三者からの卵子提供を受けての体外受精について、日本の伝統や文化も考慮し、広く社会的コンセンサスを形成するため、国民的議論と法整備も含めた制度設計が必要と思われます。

アメリカ疾病対策予防センター(CDC)が発表した2012年の年次報告によると、1年間に行われた体外受精は176,275サイクルで、65,179人の子供が生まれています。
一方日本では、2012年に体外受精で37,953人が生まれており、アメリカのおよそ2分の1になります。
SART
2012年の年次報告によると、第三者の卵子提供による体外受精(胚移植)は、16,858回になります。内訳は、新鮮胚移植が9,250回で平均出産率が56.6%、融解胚移植が7,608回で平均出産率が37.2%になります。胚移植全体でみれば出産率が46.9%で、およそ2人に1人の割合で出産に至っています。したがって1年間で約8,000人の子供が生まれたという事になります。同じ報告書によると、4142歳の出産率は11.8%42歳以上の出産率は3.9% という統計も出ています。
この発表を行ったSARTとは、「体外受精や生殖補助医療を専門に働く医師の集まり」で、「患者が最良の医療を受けられるように、生殖補助医療の水準を確立し維持すること」を目的として設立された米国の民間組織で、全米で379の医療機関が加盟しています。この組織の役割は、生殖補助医療のガイドラインや手引きを提供し、施設における妊娠率や多胎妊娠など、提出される報告書のレビューを行います。またガイドラインを尊守しているかどうか、監査をする役割も担っています。
米国では、約15%のカップルが不妊に悩んでいると言われています。
マーケティング会社の調査によるとその規模は、2008年の段階で、既に約40億ドルと推計される巨大マーケットになっています。もっとも多いのはART(体外受精)で、2012年に米国で行われたARTの治療件数は、176,275サイクルで、65,179人の子供が誕生しています。そして米国では、精子や卵子を提供する事がビジネスとして成り立っています。
ある精子バンクの顧客は、年間1万~1万2000人で、毎日平均で100件の精子を出荷、毎年平均で25003000人の子供が産まれています。大手の精子バンクでは、精子提供にかかる費用は600ドルで、ドナーには100ドル/1回が支払われています。また卵子の取引も盛んで、2009年の体外受精のうち、約12%が第三者からの卵子提供で行われていました。
ある調査会社によると、25%の広告が卵子ドナーへ1万ドル以上の対価を提示しており、一般的には5000ドル以上がドナーに支払われています。米国では、一般的な卵子提供による体外受精の費用は、35000ドル以上になります。

日本と世界の違い(2)

 

ヨーロッパ諸国と日本の違いについてみてみます。
まずフランスでは、男女が43歳未満で子供ができないことは「疾病」と考えられています。そのため不妊治療にも保険が適用され、ほとんど無料で治療が受けられます。フランスは外国人を除き、国民全員が国民健康保険に加入しています。専業主婦は夫の保険に加入し、仕事をしていない未婚女性もCMU(普遍的疾病給付)に加入するため、医療費はほとんど無料です。その中のAMP(生殖補助医療)保険は、43歳未満であれば、人工授精6回、体外受精4回までは100%保険でカバーされます。また卵子提供であれ、精子提供であれ、不妊治療と呼ばれるものにはすべて保険が適用されています。しかし保険が適用されるのは43歳未満で、それ以降は日本と同じように自己負担での治療になります。つまりそれは、43歳以上は「疾病ではなく、自然な老化による不妊」と判断されているのです。
不妊治療(体外受精)を行う平均年齢が最も高い国の一つが日本です。40歳以上が全体の30%を超えています。一方フランスは、40歳以上が14%で、30~34歳が最も多く34%になります。これは健康保険が適用される年齢を43歳未満にすることで、早い段階で治療に取り組ませ、体外受精の妊娠率を高めているということでもあります。フランスでは、不妊治療を受けられる人は、「不妊症である」か「子供に遺伝病を与える、または配偶者にウィルス性の疾病を与える可能性がある」と診断された「カップル」と定義されています。この「カップル」には、婚姻関係にある夫婦に限らず、「事実婚」や「恋人」もこの範囲に入れられています。また不妊治療を受診する場合、「男女そろっての診察」が法的に義務付けられています。なぜなら、現在、男性側に不妊の原因がある場合が、全体の40%を占めており、それは精子の数が30年前に比べ約2分の1になっているからです。この原因として、環境やストレス、そして食べ物の影響が考えられています。
フランスは、公的な様々な施策により、合計特殊出産率(2013年度)が2.01と、EC先進国の中でも最高値にあります。
一方日本は、1970年代後半から減少が続き、2005年に1.26まで落ちこみました。その後は緩やかに回復し、2015年には1.46と回復傾向にありますが、他の先進国と比較しても最低値にあります。出生率がこのまま1.4程度で低迷すると、約50年後には人口が今より3割少ない8千万人台半ばにまで落ち込むと推計されています。このような出生率の低下による
少子化が続き、同時に高齢者人口が増える高齢化、つまり少子高齢化による労働人口の減少は、年金や医療など社会保障の弱体化や経済の低迷につながり、社会に様々な問題をもたらすと言われています。

ヨーロッパ諸国で日本と同様に卵子提供による不妊治療を禁止している国は、イタリア、ドイツ、オーストリア、スイスとごくわずかな国です。その他の多くの国では、一定の規制の下にそれを認めています。
スペインは、卵子提供による不妊治療を認めている国の中でも高い不妊治療技術を持つと評価されています。またスペインは、不妊治療に関し、ほとんど法的規制がなく、禁止されているのは、「男女の産み分け」と「代理出産」くらいです。スペインが特徴的なのは、婚姻関係がなくても、事実婚のカップルだったり、単身女性だったり、同性愛女性だったりでも、治療を受けることができる点です。この国は、卵子提供自体が合法であるため、若く健康なドナーの卵子であふれています。その数は、2011年に約11万個で、欧州全体の40%を占めています。 また凍結されている受精卵(胚)は、スペイン国内に35万個も眠っているとも言われています。
スペインには、年間14000人もの外国人女性が不妊治療を受診するためにやってきます。その内の70%が卵子提供による体外受精と言われています。多くがヨーロッパ諸国からの患者ですが、あるクリニックでは、2012年に50人、2013年には55人の患者が卵子提供による体外受精のために、はるばる日本からやってきました。しかしスペインには、日本人の卵子ドナーの数は少なく、バルセロナにある日本食レストランや語学学校には、日本人卵子ドナーの募集広告が貼ってあります。
このクリニックが行った「卵子提供による体外受精」は年間約3000サイクルで、ヨーロッパ全体の約10%に相当します。またこの3000サイクルの中での、妊娠率は61%と公表されています。
スペインに不妊治療に来る大半の患者は、母国で成功しなかった比較的高齢な女性が多く、なかには50歳以上の患者も多数おり、日本人も例外ではありません。スペインでは、卵子を提供する事、受ける事、保存することまで合法的に自由に行えます。この自由なルールが、スペインの不妊治療を発展させた特徴だと言えます。

人口950万人のスウェーデンでは、年間17000サイクルの体外受精が行われています。2011年に体外受精で生まれた子供は、約4000人になり、そのうち卵子や精子提供で生まれた子供は約200人になります。女性は39歳、男性は54歳までの夫婦かカップルであれば、「第一子を産むまで」は保険により全費用が賄えます。単身女性への不妊治療や代理出産は法律により許可されていません。精子提供による不妊治療は、男女のカップルだけのためにあり、単身女性やレズビアン女性は例外となるため、彼女たちの多くは、隣国のデンマークに行って不妊治療を受けています。一般的にスウェーデンでは、他国に比べ若いうちから不妊治療を受ける傾向にあります。それは子供の頃からの教育により、どうすれば妊娠できるのかや卵子が時と共に老化する事は、誰もが知っていることだからです。したがって卵子提供を必要とする患者は、それほど多くはありません。先進国で働く女性たちが、40歳を過ぎてから不妊治療を開始するような現実がこの国にはありません。どうしても卵子提供が必要で、しかも急いで治療を受けたい場合は、私立のクリニックが多数ある隣国のノルウェーに行って治療を行っています。

日本と世界の違い(3)

 

アジア諸国の中では、メディカルツーリズムとして不妊治療を積極的に進めている2つの国を紹介します。
タイといえば、居住している日本人の多さで知られています。在留届を出している在住者数64千人(2014年)、在留届を出していない滞在者も含めると、10万人以上が在タイしていると推定されます。そのため、日本人向けサービスが充実し、日本にいるのと変わらない生活ができるとも言われています。 また首都バンコクの病院では、日本の病院と同等の治療が受けられ、なかでも富裕層や外国人向けにサービスを提供する私立病院の中には、高級ホテル並みの施設や欧米の医療先進国で経験を積んだドクターを擁し、世界でもトップクラスの医療が受けられます。さらに日本人が安心して治療に専念できるサービスも充実し、日本語通訳が常駐する日本人専用窓口を設けて、各種相談にも対応できるようになっています。ここ数年、タイではメディカルツーリズムに国をあげて取り組んだ結果、世界レベルの医療を快適な環境で、しかもリーズナブルな価格で受けられ、さらに治療の合間には楽しい観光もできるとあって、医療目的で訪れる観光客が増え続けています。もちろん不妊治療においても、日本では受診できない治療が可能な上に、欧米で受診するより安価なため、患者数は増え続けていました。
メディカルツーリズムが充実したタイですが、2014年8月に2つの事件が国内外で
報道されました。一つは、オーストラリア人夫婦が行った代理出産で、双子の一人がダウン症だったため、引き取りを拒んだ事件がありました。もう一つは、日本人男性が、十数人の子供を異なる女性たちに代理出産させていた事件でした。この2つの事件は、日本でも大きく報道されましたが、これを契機にタイの不妊治療に関する法律は大きく変わることとなりました。
現在タイの病院やクリニックでは、新法によって以下の証明書の提出が必要となり、新たに規制を受ける不妊治療が規定されました。
まず不妊治療を受ける場合、公的な結婚証明書(日本人の場合は戸籍謄本)、パスポート、身分証明書の提出が必須となりました。
次に、代理出産、単身者の不妊治療、営利目的での卵子提供、男女の産み分け、精子・卵子・受精卵(胚)の輸出入などが禁止となりました。

タイと同様にマレーシアは、医療ツーリズム産業を経済発展のカギとして、外国からの医療ツーリストをさらに増やすための活動を展開しています。2010年以降、医療を目的にマレーシアを訪れる外国人の数は年々増え続け、保健省が実施した医療ツーリズム促進プログラムが成果を上げていることを物語っています。首都クアラルンプールには、最新の医療設備、ホテル並みの環境そして欧米や日本で学んだ優秀なドクターを擁した、世界でもBEST10に入る病院があり、外国人向けに不妊治療センターを持つ大病院も多くあります。その一方で、マレーシアはムスリムが多数派を占める多民族国家という側面を持っています。イスラム教では、婚姻関係にある夫婦の卵子と精子を使ったIVFのみが認められています。
数年前、国内で代理出産が増えているという報告を受けマレーシアのイスラム宗教局は、イスラム教は代理出産を禁じるというファトワーを出しました。ファトワーとは、書面において発した
イスラム法学上の勧告のことで、ファトワー自体には法的な拘束力はありませんが、心理面からイスラム教徒に多大な影響を及ぼすものです。
マレーシアでは現在、不妊治療に関しての法規制はありません。しかしARTに関するガイドラインを医師会が出しており、法的拘束力はないものの、医師は基本的にこのガイドラインに従うとされています。マレーシアでは婚姻関係や伝統的な家族観を重んじる傾向が現在でも強く、出産に第三者が関わることに対しては慎重です。ARTの使用に関しては、夫の精子と妻の卵子を使い、妻が出産する、という使い方が原則とされています。ガイドラインの中には、PGD使用の制約も盛り込まれ、遺伝疾患を排除する目的以外でのPGDの使用を禁止しています。これにより、マレーシアでもfamily balancingを理由にPGDを受けることは難しくなりました。
またマレーシアでは代理出産が増えていますが、法律上、代理出産に関する民事の項目はなく、法的状況はあいまいであるといえます。法律は代理出産を想定しておらず、生んだ女性が「母」となる原則に基づいているため、こうした契約が複雑な問題に発展する可能性があります。ガイドラインにより代理出産を行う病院は少ないのですが、卵子提供に関しては、多くの病院が治療の一環として行っており実績も多数あります。

 

「妊娠しよう」と考えた時に

 

妊娠しようという気持ちの準備ができたなら、将来の母体と胎児を守るために済ませておくと安全な準備策について考えてみましょう。
最初は風疹と水痘水疱瘡への免疫についてです。
あなたはこどもの頃「風疹」や「水疱瘡」にかかったことがありますか? 
あるいは学校などでこれらに対する予防接種をうけたことはありますか?

覚えていない方は、お母様に訊いてみましょう。お母様も不確かな場合は、血液検査で、これらの伝染病に対する免疫があるかどうか確認することをお勧めします。もし血液検査で免疫がない、ということが分かったら、ワクチンを受けましょう。こどもの頃にワクチンを受けた場合でも、大人になるまでの長い年月の中で、免疫が薄れてしまい、血液検査をしてみると、実は「絶対に抗体がある」とは言えないような低い数値になっていることもあります。出来れば、皆さんが血液検査で調べた方が好いのです。妊娠中にこのようなウイルス性感染症に感染すると、胎児の先天性異常や重度の肺炎などの母体の合併症に発展することがあります。せっかく妊娠しても、そのようなことになっては大変ですので、できるだけのことは準備しておきましょう。免疫がない場合、あるいは免疫を表す数値が低い場合は、ワクチンを受けることになりますが、このワクチンは生ワクチンです。したがって、ワクチンを受けた直後は、逆に胎児にはよくありません。ワクチンを受けたら数か月後に血液検査を受けて抗体ができていることを確認して下さい。ワクチン接種後、どれくらいの期間妊娠しない方が好いかについては医師に確認して下さい。 通常は24か月ぐらいです。その間は避妊して下さい。

まだ妊娠もしていないのに、妊婦用ビタミン剤なんて・・・と思われるかもしれませんが、積極的に妊娠をしようと思っている時、妊娠成立前から服用を始めても全く問題の無いものです。単に妊婦用ビタミンというのではなく、キーポイントは「葉酸」です。これが含まれていることによって、妊娠中の胎児の脳の発達時に、脳神経管における異常発生を減少させることが分かっています。健康のためにサプリメントを服用されているのなら、これも一つの手段かもしれません。ただ、妊婦用のビタミン剤の中には、鉄分が余分に含まれているものも多く、それで吐き気を催してしまう方も少なくありません。吐き気がするようであれば、そして鉄分の含有量が少なくとも大丈夫な場合は、含有量が低めのものを選んで試してみましょう。但し、貧血気味の方の場合はきちんと担当医と相談をして、必要な量を摂取して下さい。

ご存知の方も多いと思いますが、妊娠しているのを知らずにレントゲンを受けてしまうと、胎児に悪影響がある場合があります。今は歯医者さんでも、他の医療施設でも、女性には「妊娠中ではありませんか?」と聞いてくれるようです。しかし、もし聞かれなくても、少しでも妊娠の可能性がある場合は、「もしかしたらそうである可能性もあるので・・・」と、適切な準備(例えばX線を通さないベストをかけてもらうなど)をしてもらって下さい。不必要なレントゲンは受けない、あるいはレントゲンが必要な検査や治療は、妊娠を試みる前にすべて終わらせてしまう、というのが好いかもしれません。

本来は、ブライダルチェックのような検診で、あらゆる詳細な検査を受けるのが望ましいのですが、そのような検査を受けるチャンスが無い場合、どうしても時間を作れない場合、妊娠前に絶対行って頂きたいのは、子宮頸がんと乳がんの検査です。 どちらも初期発見があると完治できる可能性がありますが、進行した状態で診断されてしまうと、もし妊娠している場合、その妊娠、つまり赤ちゃん自体を諦めるという悲劇はおろか、自分自身の命さえも危険にさらされてしまうことになります。子宮頸がんの場合、進行してしまうと、子宮を全摘出しなければならないこと、さらに転移していると卵巣も一緒に摘出、ということにもなりかねません。それでも命が助かればよいのですが、もちろん知らずに放置された状態だと、死にも至ります。発症時は自覚症状がまったくありませんから、定期的に検査を受ける以外、病気を知る手段はないのです。子宮頸がんと乳がんの検査は、できるだけ毎年1回受けて下さい。どんなに忙しくても、何があっても、それが初期発見の鍵となる真実なのですから。

 

 婦人科検診とは

 

既婚の女性ならともかく、独身女性にとって婦人科の門をくぐるというのは、かなり抵抗があると思います。日本の病院は大きな看板を出していますから、「婦人科」や「産婦人科」の門をくぐると、なぜか妙に周囲の目が気になり、入っていくところを見られたら、どんな噂をされるか分からないなどと考える女性が多いようです。しかしネガティブな先入観を捨て、「いつか子どもを産みたい」と漠然と考えている女性も、「子どもはいらない」と考えている女性も、自分自身の健康管理のために、勇気をもって「婦人科検診」を受けてみる、その第一ステップが重要です。
まったくの健康状態で、生理不順や他の月経関連の気になる点がない女性でも、まずは検診、生理不順があればなおさら検診を受けるのは早い方がよいでしょう。子宮頸がんや乳がんも、初期診断があれば完治する可能性の高い病気です。元気で長い人生を送るためにも定期的な健康診断で、このようながんの検診も受けるべきです。20代での子宮頸がん発症の診断が遅れて、「子宮全摘」という処置を受けざるを得なくなった女性がなんと多いことでしょうか。子宮頸がんの治療のために、化学療法や放射線治療を受けたことで、がんは完治したものの、卵巣機能を失ってしまう女性も多くいます。これらは、本当に悲劇としか言いようがありません。未然に防げるものならそれに越したことはない、というのは当然です。

一般婦人科検診のことを「ブライダルチェック」といった華やいだ名前で、女性の全般的な検診を行っている婦人科は少なくありません。「花嫁」というと、結婚が決まった女性が婦人科検診を受けておく、という印象がありますが、これはなにも結婚が決まったから受ける資格ができる、というものでは決してなく、同様の婦人科検診をどなたも20代でまず一度は受けておくべきです。あなたが30代以上の年齢の女性で、まだ一度も婦人科検診を受けたことがないならば、できるだけ早く検診を受けることをお勧めします。もちろん、結婚が決まっていたり、すでに結婚した後の女性でも、自分自身の「妊娠・出産力」を確認するためと健康のために、必ず受けてみるべきだと思います。
検診には、必ず「内診」がありますので、やはり抵抗のある女性は多いと思います。実際、膣の中へ診察用の器具を挿入したりすることを考えると、恥ずかしさや恐怖が先立つかもしれませんが、自分の健康と命のため、これは我慢して受けてみることです。女医さんがいる婦人科を探してみるのも一つの手段でしょう。以下のチェックポイントは、すべて「妊娠・出産」の観点からのチェックポイントです。それらの検診に於いて、何らかの診断を受けた場合は、私のコメントがない場合でも、担当医師と相談して下さい。

婦人科検診の最初は問診です。まずは生理の状態をチェックします。定期的な周期かどうか、出血量や生理痛の度合いはどうか、そういったことから判明する疾患もあります。疾患とまではいかずとも、ホルモンの状態をコントロールして日常生活に影響をきたすような重い生理の症状を緩和することができるかもしれません。生理については、自己診断で見つめ直して、自分で気づいた点を受診時に医師にお話ししましょう。また受診時の質問に直ぐ答えられるよう、まず前回の生理開始日と、普段の生理周期の日数を計算しておきましょう。
次は、家族の医療歴です。家族の医療歴を検討することで、その女性の母親あるいは親族に出た疾患なども検討することができます。特に、乳がんなどは、家系によりリスクが高いなども指摘されることがあります。いろいろな事実を知ること自体、怖いことかもしれませんが、現代医学では「先に知る」ことで、あとで問題を回避できる状況が多くありますので、ご自身のお母様と話をする機会をもち、そして勇気を持って問診に臨みましょう。また、家族や近い親戚の中で、お子さんのいらっしゃらないご夫婦が居られたり、不妊に悩まれた方がいらした場合は、原因を知っていても知らなくても、一応担当医師に話しておく方が好いでしょう。

婦人科検診でも一般健康診断もあります。血圧、脈拍、身長、体重などを計ります。尿検査で糖尿症状がないかなども調べることがあります。胸部レントゲンを行う場合もありますが、レントゲンは、妊娠している場合には胎児にとって危険になり得ますので、妊娠の可能性が少しでもある場合は、必ず医師にその旨を伝えて下さい。
次は触診です。乳がん検査の第一ステップとして、乳房や脇の下の触診により、しこりや腫れなどがないことを確認します。がんではなくても、乳腺炎などの診断につながることもあります。
腹部の触診によって、子宮筋腫の可能性を調べます。子宮筋腫は、自覚症状がない場合も極めて多く、妊娠・出産が視野に入っていない時は、日常生活に全く悪影響を及ぼすことがない場合もあります。しかし妊娠を望む際、筋腫の位置や大きさによっては、卵巣に全く問題がなくても、妊娠そのものを阻む場合もあります。
初めての婦人科検診の場合、抵抗があるのが内診だと思います。しかし、内診によってはじめて診断できる症状や疾患があります。膣からの検診・触診などで、腹部からの触診では分からない筋腫やポリープなどが判明することがあります。
超音波検診は、膣から超音波プローブという器具を挿入し、超音波画面で子宮の状態や卵巣の状態を調べる検査です。この検査は希望しなければ行われないこともあります。
血液検査で、ホルモンの状態、貧血症状があるかどうか、感染症や性病の有無、妊娠期に初回感染すると胎児にリスクが発生する風疹や水痘水疱瘡などへの交代などを調べることができます。もし風疹や水痘への抗体がない場合(予防接種を過去に受けただけの場合、稀に抗体が消えてしまっていることもあります)は、妊娠に備えて予防接種を受けておくべきです。但し、これらの予防接種は生ワクチンなので、ワクチンを受けた後数か月は妊娠しないことが勧められます。避妊期間を含め、詳細は医師にご相談下さい。
甲状腺に問題がある場合は、妊娠しにくくなっていることがありますが、投薬で対処することが可能です。
血液型をはっきり知らない場合は、この時に同時に調べてもらえると思います。
クラミジアに感染したことがある場合など、自覚症状が通常ないので、放置された状態だと、不妊症につながることがあります。
その他、必要にお応じて、担当医からほかの血液検査も勧めらるかもしれません。
子宮の粘膜を拭い取り、検査に出すことで、子宮頸がんの検査を行います。簡単に終了できるのに大変有効な検査であり、20代からできれば毎年検査するのが有効です。内診の際に併せて行われることが多いでしょう。
子宮頚部粘膜テストはクラミジアの検出を行います。
尿検査は、糖尿症状が出ていないか、感染症がないかを確認します。
一般的には、ここまでに述べたような検査が行われますが、ほとんどの方は「異常なし」という結果が出されることでしょう。まずは第一関門突破です。

直ぐに子供が欲しい場合の検診は、一般検診だけではなく、その旨をはっきりと医師に伝えましょう。個々のケースに従って、あるいはあなたの年齢に従って、医師が指導をしてくれるでしょう。
多くの医師は「基礎体温表をまずつけてきて下さい」と指示することがあります。これは、意味のある基礎体温表を得るまでに、少なくとも月経周期の2周期分が必要となりますので、およそ2か月を要することになりますので、思い立ったらすぐつけ始めましょう。基礎体温というのは、風邪を引いて熱が出た時などに使用する体温計とは全く別の、「婦人体温計」を使用します。薬局で市販されており、毎朝起きた時に、口に含んで数分間計測するタイプのものが主流です。最近では簡単に計測できる電子婦人体温計も市販されていますし、コンピュータ内蔵の自動記録・グラフ表示機能が付ているものもあります。
もし、あなたが既に37才以上の場合は、悠長に2か月間の基礎体温データを得るのを待っているわけにはいきません。その間になにかできることはないか、積極的に進められるよう医師と予約可能な必要検査などを、相談するのも有効な手段の一つです。

 

医療機関の違い

  

体外受精や顕微授精などの高度生殖医療に於ける妊娠率は、医療機関によって大きくばらついていますが、その要因を考えてみましょう。
高度生殖医療は、1980年代までは大学病院などの医療設備や入院を要する病棟での医療でした。また採卵なども手術室で行われるのが一般的でした。しかし、1990年代に入ると大学病院などで経験を積んだ医師達が独立し、自らのクリニックを開設するようになって行きました。これが可能になったのは経膣超音波検査の普及が大きな要因でした。これによって、体外受精の最も外科的なプロセスである採卵が、これまでの手術室などから、外来の処置室で行うことができるようになりました。以降、高度生殖医療を行う医療機関の数は増加の一途をたどっています。この増加分のほとんどが、いわゆる開業医が占めていることが特徴的な事実です。
高度生殖医療の中心が大病院から個人の医療機関にシフトしたことによって、医療技術のスキルやノウハウが、個人の医療機関側に蓄積され、各施設が独自の工夫を加えて治療が行われています。体外受精のプロセスは、大まかに5つに分けて考えることができますが、どのプロセスに於いても、細部については医療機関の間で異なっているのです。

体外受精は、5つのプロセスのどの段階においても、不具合があっては妊娠が成立しません。
また妊娠を成立させるためには、2つの大きな力が働きます。一つ目は、言うまでもなく医師が正しく診断し、治療のスケジュールを組み立て、薬などを投与するといった医師側の力、すなわち 「治療力」 です。 もう一つは、通常の治療であれば看護師が中心となる、「看護力」 ですが、高度生殖医療においては、もう一つの大きな力は看護力ではなく 「ラボ力」 になります。ここが他の医療と決定的に違うところです。ラボ力のラボとは、培養室のことです。卵子を培養したり、精子を調整したり、顕微授精を行ったりする人達が活躍するラボの力が大変重要になります。培養室で働いているのは、主にエンブリオロジスト(胚培養士)と呼ばれる人達です。こうした人達の技術水準、スキルが体外受精の成否を決定づけていると言えます。農学部や獣医学部などで学んだ人が多いのですが、卵子や精子を取り扱うプロの集団です。体外受精の成績の優秀な施設ほど、優秀なエンブリオロジストが揃っています。
体外受精に於いて妊娠を成立させるのは、医師の治療力とエンブリオロジストのラボ力との総合力だと言えます。ラボで働くエンブリオロジストは、一般的には表に出てきませんのでその実力の評価は難しいのですが、彼らは培養器の精度管理なども行っています。培養器の中の安定度が、体外受精の結果に大きく影響するであろうことは想像に難くありません。一般的な傾向として、体外受精は、それを行う件数が多い施設ほど妊娠率が高いという傾向がみられ、その理由のひとつが培養器の安定性だと考えられます。実際の体外受精の培養では、二酸化炭素や窒素、酸素といった気体を一定の割合で培養器内に流しますが、培養器のオン・オフを繰り返しているとなかなか安定しません。件数が多いと常時稼働させた状態にすることができ安定度が増すのです。もちろん、体外受精の件数が多いことだけが、単純に妊娠率に反映されているわけではありません。自然周期採卵の1個の卵子を体外受精させ、子宮に戻し、妊娠に至るということには、極めて高い技術力が必要なのです。

医療機関側の傾向として、一度来院した患者さんをなかなか手放さない「囲い込み」という問題があります。
技術力や得意な治療法は、医療機関によって異なります。不妊治療の世界での技術は医療機関の企業秘密のようなことも多くあり、一般の人には判断がつかないでしょう。不妊治療を始めると、多くの場合、タイミング法から人工授精、体外受精までを同じ医療機関で行っています。しかしタイミング法を行う医療機関が、必ずしも体外受精のスペシャリストだとは限りません。 同じ医療機関ですべてを受ける必要は全くありません。小さいクリニックでは、腹腔鏡のような治療を行うことができないので、必要な場合でも敢えてそれをしないということが現実に起きています。
不妊治療がビジネス化している今の日本では、しばしばみられる現象と言えます。
 

 

年代別での妊娠を望む方へ

 

10代後半は生物学的には最高の妊娠適齢期ですが、社会的適齢期、つまり精神的あるいは経済的にはちょっと無理があるかもしれません。
まだ学生の方も多く、親から独立していない場合も多い年代ですから、子供を責任もって育てる意思がないのなら、避妊が絶対条件です。1回だけだったのに妊娠、ということがこの年代には大いにあり得ます。望まない妊娠の場合、中絶するケースが極めて多いと思いますが、もし望まない妊娠をしてしまって、中絶が必要になってしまったら、きちんとした医療施設で丁寧な中絶手術を受けましょう。この掻把術が上手く行われていない場合、子宮に癒着(傷)が残ることがあり、それが原因で後に子宮内膜が育たない、というような問題に発展することもあります。術後もきちんと医師の指示に従うことが肝要です。何度も中絶を繰り返すと、きちんとした手術を受けていても子宮内に癒着が残る可能性が出てくるので、妊娠を望まないなら避妊が不可欠です。

20代は、21世紀のライフスタイルの中でも、社会的妊娠適齢期としても最適で、生物学上でも素晴らしい結果を出せる妊娠適齢期です。
現在でも、日本では20代後半で初産というケースが極めて多いのです。まだまだ卵子の生殖力は高いので、基本的には安心していてよい時期です。ひと昔前に言われていた「25才はお肌の曲がり角」とか、「クリスマスケーキ(25日を過ぎると値が下がるという意味)」のような、今では死語になっている意地悪な言い回しの中に、実は生物学上の真実が隠されていたのかもしれません。つまり、一通りの教育を受けることを終了し、社会に出て、20代のうちに結婚して、30代前に妊娠・出産というのが、生物学上もうまくいく可能性が高いという事実です。妊娠を希望する20代の方は、まず避妊を止めて自然に任せてみましょう。およそ8090%の方が1年以内に妊娠すると予想されます。タイミング法を念頭に置いて1年を経過しても妊娠しない場合には、ご夫婦そろって専門医に診てもらいましょう。

30代は、21世紀のライフスタイルに密着した多くの女性の「希望的」妊娠適齢期ですが、生物学上の適齢期としては、ちょっと怪しくなってくる時期です。
統計によると、およそ32才頃までは、だいたい安定した高い妊娠の可能性が認められています。しかし、その後は、年齢とともに徐々に「妊娠力」が低下していきます。およそ35才頃から、卵子の老化に伴い、卵子そのものに染色体異常が起こる可能性が上昇し、ダウン症児の出産率が上がっていきます。ダウン症児を立派に育て上げて居るご家庭は沢山ありますが、妊娠中の女性は、やはりこの可能性について心配するのもまた現実です。そして、37才頃から妊娠率は急降下を始め、40代に入ると妊娠率が極めて低くなっていく、というのが現実です。妊娠率が急降下を始めると同時に、折角妊娠しても流産に終わるケースが増えていきます。自己卵子による「妊娠適齢期」として、そして生殖補助医療(不妊治療)になるべくお世話にならずに妊娠・出産をするには、できれば35才までを考えたいところです。
35歳以上の初産は、「高齢出産」ということでリスクが高くなる妊娠とみなされています。35才を超えたからといって即不妊治療が必要という意味ではありませんが、35才を超えたら単に自然にまかせるということではなく、妊娠するという目的に向かって、より積極的な手段を考慮すべきです。35才頃から卵子の染色体異常が認められる確率が高くなってきますが、染色体異常が起こっている卵子の数が増えてくると、受精しない、あるいは受精しても受精卵が子宮内に着床(妊娠成立)できない、あるいは着床しても早期流産になる、といったことが起こる確率が高くなります。
治療の有無に関わらず、結果を出したい、つまり妊娠して出産する、という目的を果たすのであれば、一般的には30代まで、つまり40代に入る前までが適切といえます。30代前半の場合は、避妊を止め、まずはタイミング法を念頭において、自然にまかせてみましょう。1年経っても妊娠しない場合は、ご主人と共に専門医へ行くことをお勧めします。35才以上の場合は、1年以内であっても思い立ったらすぐに専門医へ行きましょう。37才以上の方は、積極的なタイミング法の開始と同時に専門医に相談すべきです。妊娠率が急降下し始める37才からは、妊娠に向けての正念場となります。30代後半になると、婦人病が発生することがあります。子宮内膜症の症状が進んでしまったり、子宮筋腫ができていたりするケースもあります。そのような場合は、それらが不妊の原因になってしまうことも多々あります。また初産年齢が高い女性の場合、乳がんの発生リスクなども高くなるといわれています。この時期になったら、不妊治療は開始しなくても、婦人科検診を少なくとも年1回受信して下さい。理想的には、20代の頃から年に1回婦人科検診を受けるのがお薦めですが、この時期からでも遅くはありません。

40代は、生物学上はかなり厳しいので適齢期とはいえませんが、場合によってはまだ間に合うかもしれない「社会的」適齢期です。
つまり精神的にも経済的にも安定という意味からだけみると、最高かもしれません。卵子の老化によって、妊娠率が極めて低くなるだけではなく、妊娠しても初期流産の可能性やダウン症児の妊娠の可能性が高まります。不妊治療を必要とした女性については、米国では別の統計があり、その場合、満45才での妊娠率はほぼ0%になることが分かっています。そのため、米国のほとんどの生殖医療クリニックでは、その女性本人の卵子による体外受精治療は、基本的には満45才で締め切られているのが現実です。もちろん例外はありますし、すべての女性に当てはまるわけではありません。さらに、自己卵子による体外受精でも、現在の受精卵凍結技術の発達により、より年齢が若いうちに体外受精・凍結した受精卵にて、45才を超えて妊娠する女性はもちろんいます。自然な妊娠というのは、40代では大変厳しい状態になるため、40代に入ってから妊娠を望む女性については、「自然にまかせて妊娠を待つ」のでは、子供を授かる可能性を逃してしまうかもしれません。一般的にいわれている、「1年自然にまかせてみて、ダメだったら治療を」という考えは、40代に入るともう当てはまりません。ですから、かなり積極的な生殖補助医療が一般的に勧められています。子供が是非とも欲しいと考えるなら、すぐにでもご主人と共に専門医に行くことをお勧めします。結果的に異常なし、という診断が出ても、自然周期での妊娠率が、個人差はあるものの40代に入ると515%と推定されているため、医師による専門的所見を受けるのが肝要です。「問題なし」という結果が出ていても、卵巣機能の低下は現実として起こっているので、積極的な取り組みが必要なのです。40代になると、かなり早い段階で体外受精が勧められるケースが多いのですが、すぐに体外受精に踏み切れない場合でも、例えば「人工授精を23回行ってもダメなら体外受精」といった形で積極的にステップアップして行き、とにかく残された時間を有効に使ことが肝要です。40代になったら「自然」ということにこだわっていると、自己卵子による妊娠がまったく可能ではなくなってしまうことがあります。妊娠率が515%という数字は、生理が順調な女性でも年間に12回程度しかチャンスがないことを考えると、非常に厳しいことがお分かりいただけるかと思います。 しかも流産率は50%にも上っており、チャンスを待っているうちにも卵巣機能は衰えて行き、確実に確率は下がってゆきます。繰り返し述べていますが、40代での妊娠の可能性は、個人差があり、チャンスが無いわけではありません。しかしチャンスを逃すリスクが高くなってくるので、まずは専門医の診断を受けることをお勧めします。更に、女性側に問題が無くても、パートナーの男性の数値が低い場合もあります。そういった場合、良い状態の精子を選別して人工授精をすることだけで結果が出ることもあります。とにかく40代に入ったら、「躊躇しないで積極的に」がキーワードです。
前にも書きましたが、子宮内膜症や子宮筋腫がもともとあった女性の状態は、更に悪化している可能性もあります。子宮の老化は、卵巣ほど早く老化せず、子宮という機能だけを見ると、60代になっても十分妊娠可能な場合がありますが、それでもやはり子宮の筋層部などの状態に老化現象が現れます。 子宮腺筋症の症状が見られることもあります。 そうなると、卵巣機能の低下との両方で、妊娠への期待が厳しくなります。子宮内膜症や子宮筋腫は、自覚症状がないケースもあり、検査して初めてわかることもありますので、 早い時期での検査がもちろんお薦めです。乳がんや子宮頸がんの検診を含む婦人科検診を毎年1回受診するべきです。
また米国での治療状況を書きましたが、40代は卵子の老化が顕著になっていますので、子宮の老化がこれ以上進む前に、第三者からの卵子提供を受けての体外受精を積極的に考えるべき年代です。

50代は、第三者から卵子提供を受けての妊娠など、第三者の卵子を受け入れる気持ちと健康状態が良好ならば妊娠可能です。
社会的には、精神的にも経済的にも安定しているでしょうし、「適齢期」とはいえないものの個人的チョイスによって、まだ親となる道が残されている年齢層です。ただ、無事に出産しても、子育てに必要な体力が問題になってきます。50代に入ると、自己卵子での妊娠は不可能であると考えられています。50代のうちに閉経する女性は多く、また50代にはいる頃には、閉経していないまでも、生理が極めて不順な状態になって入り女性も多いのです。満55才までは卵子提供プログラムを受けることを認めている医療機関もありますが、治療開始前に厳しい身体検査に合格しなければ受け入れられません。高血圧や糖尿症状がある女性は基本的に不適格と判断され、循環器に問題がある場合も勿論不合格です。健康状態が極めてよく、子宮の状態にも問題が無い場合のみGOサインが出るのです。50代での妊娠は、周りの目や体力が気になってくるかもしれないので、本人のリスクに対する自覚と、強い意志、そして理解ある産科医の協力が無ければ妊娠に挑戦すべきではないでしょう。

60代では、子宮の状態が大丈夫であれば、卵子提供を受ければ技術的には妊娠可能ですが、医療上のリスクが高くなり過ぎるため、どんなに健康状態が良くても、ご自身での妊娠はお勧めできません。

エンジェルバンクでは、卵子提供プログラムや代理出産プログラムの勉強会やご相談、無料での個人面談を随時行っておりますので、お問い合わせ下さい。

赤ちゃんを授かるための選択肢

 

一般的には、健康で妊娠適齢期の女性の場合、避妊を止め排卵のタイミングに丁度合えば、1年ほどで妊娠すると言われています。このような自然妊娠の確率は7080%になります。ここでいうところの妊娠適齢期とは、32歳ぐらいまでの女性のことで、この自然妊娠率にもっとも影響を与えるのは年齢です。つまり卵子の年齢が自然妊娠率を左右してるとも言えます。
女性の社会進出が進み、結婚する年齢が上がることで、不妊の原因の第一は、卵子の老化となっています。これは、日本だけでなく多くの先進国で問題となっている少子化の原因にも繋がっています。

自然に妊娠できなかった場合、妊娠適齢期の方なら誰でもすぐにできる赤ちゃんを授かる方法は、タイミング法です。妊娠適齢期の女性なら、「基礎体温の測定」や「排卵検査キット」で排卵時期を把握し、タイミングよく性交渉を行えば、80%ほどの確率で妊娠することが可能です。これがタイミング法と言われている計画妊娠です。月経周期が28日の場合、月経開始日からおよそ14日目に排卵が起こります。しかし月経周期がほぼ安定している人でも、その時の体調などにより決まった間隔で起こるわけではありません。また排卵された卵子が受精できる時間は限られているため、妊娠の確率を高めるために排卵時期を予測することが必要になってきます。自然妊娠やタイミング法を試みても1年以上妊娠できなかった場合や、すでに妊娠適齢期を過ぎている場合、特に40歳を過ぎている場合は、すぐにご夫婦で産婦人科や不妊治療専門医を受診して下さい。近年、不妊の原因の約40%が男性側にあると言われており、必ずご夫婦で検査を受けることをお勧めします。

自然妊娠そして計画妊娠にトライされて1年以上妊娠できなかった場合や、すでに妊娠適齢期を過ぎている場合でも、生殖補助医療がすぐに必要という事ではなく、ご夫婦で検査を受け、疾患が見つかった場合は、その治療を行う事で妊娠することもあります。検査では、ホルモンの乱れ、子宮内膜症、子宮筋腫が見つかることもあり、治療や手術を行う必要があれば、すぐに進めて下さい。
また近年では、ストレス等の影響で、妊娠できないご夫婦の内、約40%が男性側に問題があるとの結果が出ています。精子の検査で、無精子症、精子の運動率や奇形などの異常が見つかることも多々あります。
女性の社会進出すすみ、結婚する年齢が上がることで、不妊の原因となるのは、女性の年齢、つまり卵子の老化が大きく影響していると言われています。
検査後の疾患の治療、その後の生殖補助医療への取り組みが大事になってきます。

生殖補助医療技術の1つである人工授精(AIH)とは、洗浄濃縮した選りすぐりの精子を、排卵のタイミングで女性の膣内から注入する不妊治療です。この人工授精には、基礎体温などで排卵のタイミングを見て行う場合と、より積極的に排卵誘発剤などを使い、卵胞の発育状態を確認しながら、排卵のタイミングを薬剤でコントロールしながら行う場合の2通りがあります。
人工授精の利点としては、使用する薬剤を最小限に抑えることができるため、体への負担が少なく、費用も比較的安価に抑えることができます。反面考慮点としては、受精卵の数のコントロールができないため、多胎妊娠の危険性があります。
また第三者の精子ドナーから精子の提供を受けて行う人工授精(AID)もあります。これは、男性側が無精子症などの場合に行われます。しかし顕微授精が増えるのに従い、この方法は減少しています。

生殖補助医療(ART)と呼ばれる技術の一つに体外受精があります。体外受精の歴史は長く、1978年世界初の体外受精そして胚移植による妊娠・分娩の成功以来約40年間になり、現在では約18人に1人の新生児が体外受精で誕生した計算になります。女性の卵巣から採取した卵子と男性から採取した精子を培養液の中で混ぜ合わせ、女性の体内で起こっていた受精を体外で行い、できた受精卵を子宮に移植する医療技術です。
体外受精の利点としては、卵子や受精卵の状態を詳細に管理できるため、妊娠率が高くなることです。一方で、排卵誘発剤などの薬剤の投与や採卵などで女性の体への負担が大きくなり、同時に医療費も高くなります。しかし晩婚化を背景に不妊に悩む夫婦が増える中、治療費の一部公費負担制度を利用して治療を受ける人が増加しています。
尚、体外受精は、「婚姻している夫婦に限る」との日本産婦人科学会の指針により、日本国内ではドナーからの精子や卵子の提供による体外受精はできません。

生殖補助医療の中から、日本でできる最後の選択肢として、顕微授精を取り上げます。顕微授精は、男性不妊に対応するために開発された画期的な治療法で、体外受精の一つです。
精子に何かしらの異常がある、たとえば数が少ない、奇形が多い、運動率が低いなどの場合、通常の体外受精では、受精まで至らないことが多く、その解決策としてできたのが顕微授精です。正常な精子を1つ、成熟した卵子内に挿入する事で受精させる医療技術のことです。
最近では、精子に問題がない場合でも、受精率を高めるため用いられることもあります。またさらに妊娠率を高めるため、できた胚を一度凍結し、着床しやすいように子宮の状態を整えてから移植を行う、凍結胚移植との組み合わせも増えてきました。顕微授精の利点としては、精子検査の数値が悪い場合であっても、受精に至る確率が高まります。一方で、胚培養士の技術に依存することが多く、費用も高額になります。

顕微授精は、本来は男性不妊のために開発された技術であると書きましたが、重症の男性不妊の場合行われる精巣上体精子回収法(MESA)と精巣精子回収法(TESE)があります。これは、射精できない(射精障害)または無精子症(射精後の精液に精子が見つからない)の場合に、直接睾丸から精子を採取する方法として開発された生殖補助医療技術です。
男性から精巣上体精子回収法や精巣精子回収法で精子を採取し、同時に女性の卵巣から卵子を採取するといった一連の流れの中で、得られた精子と卵子で顕微授精を行い、その後子宮の状態を整え、得られた受精卵を胚移植することで妊娠を目指す方法です。しかしMESATESEが必要なケースでは、受精可能な精子が採取できなかったり、採取できても正常な精子の数が少なかったりすることも十分考えられます。この方法の利点としては、直接睾丸から行うことで、精子を採取できる可能性が高まることです。一方で、最新の医療技術に依存するため、費用は高額になります。

不妊の原因で、このような男性側のみにある場合が2025%、男性と女性の両者にある場合は同じく2025%、したがって全体の約半数が男性側に何かしらの原因があるという事になります。一方女性側のみにある場合は、約40%と言われています。お子さんができない原因にはいろいろあります。はっきりした原因がある場合は、これに対応する必要がありますが、原因がはっきりしない場合も多数あります。その多くの場合、年齢が高いというだけで、はっきりした原因がわからないことも事実です。具体的な不妊の原因には、排卵障害、卵管障害、着床障害などの女性側の原因と、男性側の障害があります。夫婦共に問題がなく、タイミング指導から人工授精まで行っても妊娠に至らない場合は、機能性不妊と定義づけられます。簡単に言い変えれば、原因不明の状態の事です。
治療のステップアップとして体外受精そして顕微授精と書いてきましたが、ご夫婦の年齢が40歳以上の場合、次の一歩も視野に入れる必要があります。日本の生殖医療は世界水準と言えますが、まだ国内では制限されたり、許可されていない治療手段が海外にはあり、それらも赤ちゃんを授かるための選択肢です。

エンジェルバンクでは、不妊治療の次の一歩として、海外で行う卵子提供プログラムや代理母出産プログラムのご紹介やコーディネートを行っています。オンラインでの無料の個人面談を実施していますので、お問い合わせよりお申し込み下さい。 

妊娠・出産の適齢期

 

21世紀の最先端医療のひとつ、高度生殖医療の一般化で、子どもを産むための「不妊治療」の選択肢の幅は拡大しており、配偶者間の体外受精は広く一般化しています。また卵子提供プログラムや代理出産プログラム、着床前遺伝子診断などは日本国内ではまだ一般的には認可されていないものの、米国や欧州をはじめとした国々では、一般不妊治療の選択肢の一つとして広く行われています。
そのような究極の新しい選択肢があることを念頭に置いたとしても、女性がまず望むのは、やはり自分の卵子と自分の子宮で妊娠・出産を行うことです。その原点に戻って、まず何を知っておかなければならないかを考えてみましょう。

女性の妊娠・出産には適齢期があります。医学が進歩した現在でも、卵子の老化問題、妊娠合併症の問題などや我々が置かれている現代の社会を考えると、20代が最も適していると考えられ、遅くとも35歳くらいまでを適齢期と言っています。
しかし身体的に一番妊娠しやすいのは、10代の終わり頃と言えます。20代を経て、30代に入ると、加齢とともに女性が自然に妊娠する可能性は少しずつ低下し、35歳からは急激に下がると考えられています。現代の社会は10代で出産するのは厳しい世の中になっています。社会的にも精神的にも「大人」になって子供を育てる責任をきちんと遂行できるのは、年齢がもう少し高くなってからです。現代の社会では、女性の社会進出や晩婚化などライフスタイルの変化によって、30代になってから出産を考える女性が極めて多くなっており、40代になってから初めてそのことを考える女性もいるのが現実です。その年代になってみると、身体の方は残念ながら生殖力が衰えてしまっているという生物学上の事実にぶつかってしまい、出産にも、流早産の増加、異常分娩や分娩時出血多量など、さまざまなリスクが上昇していきます。
不妊治療に携わっている生殖医療の専門家は、この身体的生殖力のピークと、精神的・社会的な立場から親となる準備ができる年代との間のギャップを埋めるために存在しているのです。

平均寿命が今よりずっと短かった昔は、女性の多くは10代で結婚し、妊娠・出産する場合がほとんどでした。第2次世界大戦後の日本では、20代前半で結婚し初産に至るケースが一般的でした。しかし今は、女性の社会的地位も更に向上し、高学歴で、キャリアに専念する女性も多い時代になっています。人生の自由な選択肢がある中で、だんだんと結婚年齢が上がり、妊娠・出産の年齢も高くなってきています。
しかし時代遅れのような10代での妊娠・出産が、人間という動物の生物学上の観点からは一番妥当であるという事実は理解しておく必要があります。現実に目を向けると、10代という年齢では、まだ社会的には「学生」という身分が多いので、この年齢で妊娠をしてしまった場合に、中絶という選択を選ぶ女性も少なくないというのも事実です。豊かな現在の日本では、結婚を急がなくても自分が選択したライフスタイルを楽しむことができ、晩婚化・非婚化進んでいます。その結果、いつの間にか生物学上の「妊娠適齢期」を逃してしまっているケースが増えているのです。豊かになってきたライフスタイルは、そう簡単に放棄できません。自分が選んだ仕事や趣味を犠牲にするという選択も簡単にできるものではありません。しかし、「いったん失った生殖力は戻ってこない」という曲げられない事実は厳然と存在しています。いつか漠然と「自分は子どもを産むだろう」と考えているならば、ここで一度、「生物学上の真実」を知っておくことは大切なことです。

あなたの体内時計は刻一刻と時間を刻んでいます。つまり、齢を重ねるごとに妊娠のタイムリミットは迫っているのです。「いつまで妊娠できるか?」という質問には、あらゆるケースが考えられるため、一言では答えられません。
しかし、統計や生殖医療、出産数などの数値を見てみると、個人差はあるものの、一般的には、
40代に入ると自己卵子では妊娠しにくくなり
40代に入ると自己卵子では妊娠がいったん成立しても流産率が高くなり
40代半ばになると自己卵子での妊娠の可能性はほとんどなくなる
といった事実が挙げられます。
勿論個人差はありますので、あくまでも「一般的な目安」と考えて下さい。自己卵子による妊娠は、「45歳」という年齢が上限であると考えておくのがよさそうです。50代でほとんどの女性が閉経しますが、多くの女性は、40代のどこかで生理が不順になっていき、次第に閉経に向かいます。ここで理解しておいて頂きたいのは、「生理があるうちは妊娠できる」というのは必ずしも真実ではないということです。


年齢と妊娠率の統計を見てみると、年齢と妊娠率との間には深い関りがあることが分かります。先進国では世界中で初産の高齢化が進んでおり、アメリカではおよそ20%の女性が35歳以上で第1子を出産しているといわれています。ここで理解しておかなければならないのは、30歳を超えると、毎年5%ぐらいの割合で妊娠できる確率が減少していくといわれていることです。その現象の割合は40代になると更に激しくなり、齢と共に妊娠率が落ちるだけでなく、妊娠したとしても流産してしまう確率も増えてゆくのです。この理由は何なのでしょうか。身体が齢をとって、衰えていくからでしょうか。それは、全体的な体の衰えというよりも、具体的・直接的に妊娠できる力を減らしていくのは、「卵子の生命力」なのです。医学的な言葉で言うと「卵巣機能低下」が加齢とともにどの女性にも起こるからなのです。
日本の女性の平均寿命は世界一といわれていますが、そんな現在でも、その女性がどんなに健康で、食生活などにも気を付けた万全の生活を送っていたとしても、卵子年齢の老化だけは、人生の中盤で起こってしまう、というのが悲しく厳しい現実なのです。

女性は誰でも母親の胎内にいるうちに、自分が持ち得る卵子を与えられ、自分が持ち得るだけの卵子を持って生まれてきます。そのため、それらの卵子は、人間の身体の他の細胞のように新しいものがどんどん作られてくるのではなく、生まれ持ってきた原始卵胞は、時間とともに老化していきます。通常女性は、誕生した時にそれぞれの卵巣に、約300万個、両方合わせ約600万個の原始卵胞(卵子の元になる細胞)を持って生まれてきます。それが10代で初潮を迎える頃には相当数が既に消滅している状態になっていて、約10分の1ぐらい程度になっているといわれています。初潮を迎えてから、毎月の生理のたびに一定数の卵子が排出され、失われてゆきます。排卵をするのが1個の卵子だったとしても、毎月、両方の卵巣の中に複数の卵子が現れ、その中から普通は1個だけが大きくなり、排卵するのです。そして、残っている卵子は刻一刻と老化していく、というのが卵子の状況です。すべての卵子が排出されてしまった時点で閉経となるわけです。ただし、最後の卵子が、「妊娠可能」な、つまり胎児として育っていき、出産に至ることができるような受精卵を作れる卵子であるとは限りません。
一方精子の場合は、卵子と大きな違いがあります。それは、「精子は老化しない、しかし卵子は老化する」ということです。
精子というのは、精母細胞という細胞から生まれ、2ヶ月で精子になります。つまり毎日新しい精子が男性の体の中で作られているということです。ただし加齢により、機能は少しづつ低下していきます。

体外受精の現場で分かっていることとして、「卵子が老化」するとともに、その卵子が受精してできた受精卵(胚)には、染色体異常が頻繁に見られるようになります。この染色体異常のある受精卵、というのが流産に終わってしまうケースの約半数の原因であると考えられています。卵子がまだ若い頃、つまりまだ妊娠率が高いとされている20代の頃は、卵子もまだ元気で生命力があります。つまり、受精卵に染色体異常が起こる確率が低く、正常な受精卵だからこそ一旦妊娠すると流産率も低く、無事出産できる確率も高くなるのです。目安として考えていただきたい大雑把な数字ですが、20代での流産率は1回の妊娠に対しておよそ1012%と考えられていますが、それが40代に入ると、なんと折角妊娠しても50%ほどが流産に終わってしまうという現実があります。これは、子宮が老化したとか、身体が衰えたとか、ご夫婦の遺伝子が適合しないとか、そういった問題より、唯一大きな原因として挙げられるのが、この「卵子の生命力が落ちている=染色体異常が起こっている」という理由でのことなのです。もちろん、染色体異常が原因で着床(妊娠)の現象も起こらず、「妊娠不成立」の結果も齢と共に高くなる、というのが事実です。

妊娠を考える女性に向けてのガイドブックを出版した、米国人研究者のインタビュー記事があります。それによると、自然に妊娠できる確率は年齢とともにゆっくりと低くなっていき、様々な研究を踏まえると、自然な妊娠のタイムリミットの目安は、40歳ぐらいとなります。「加齢」がタイムリミットの要因として高まるのは、41歳ぐらいからと書かれてありました。
体外受精の調査結果の場合でも、染色体が正常である比率は、38歳まではほとんど変わらず、その後も正常値の減少は少しずつなので、41歳になるまでは深刻に考えなくてよいと言われています。
別の体外受精における研究で、胎芽(妊娠8週目までの個体)に関するデータでは、30歳の女性の胎芽のうち、75%の胎芽が正常、一方39歳では、正常な胎芽は47%でした。その後41歳では31%、42歳では25%、43歳では17%と一気に落ち始めます。この段階になると、体外受精でも年齢をかなり考慮する必要が出てきます。